生産力を上げるなら聞いて読め_精神科医の聴き読み日記

主にアップルのAirpodsとkindleアプリを使って「耳」で本を読んでます

雪男、ツアンポー、凍てつく太陽

探検家、角幡唯介氏の本を続けて読む。

 

blog.goo.ne.jp

 

角幡氏は、中国の峡谷ツアンポーに挑んだことで有名?なのかな。

私の2歳年下で、正直私の世代でいわゆる「探検」を志して実行可能なんだ、と思ったりもする。要は探検なるもので功成り名遂げる遂げるにはもう遅いんじゃないの?と思っていたら、出来ているのね、と。

 

氏が早稲田の学生時代に一定程度の業績を上げたツアンポー峡谷探検だが、朝日新聞社の記者を辞めて再度挑もうとしたツアンポーの前に誘われたのが、かのヒマラヤの雪男探索隊という。

 

 角幡氏のスタンスとしては、そもそも雪男なんていないでしょ?というもので、まあまあ読む側としては安心して話に入っていけるわけですよ。これがビリーバーさんだとしたらかなり辛い。しかしそんな角幡氏も、雪男探索隊の男たちの熱量に接するうちに、やっぱりいるかもという気持ちになっていく。読み手としても、最初がビリーバーさんでない立場である角幡氏の気持ちに寄り添いやすい。

 

で、行けばまあそれらしい現象たるやあるわけで。

遠征隊の成果はこちらのリンクにもある足跡だという。

 

www.afpbb.com

 

その上で、角幡氏は、遠征隊の後1人で雪男探しを続けるわけですよ。さすが探検家。

 

で結局はだんだん熱量が下がっていく。それらしい足跡があったとしても、それはカモシカだったりしたわけで。その気持ちの下がりにも読み手はついていきやすいので、あぁやっぱり居ないよね、と安心できます。

 

現実雪男というのはやはりファンタジーの世界で、その一番の証左は地元の人達が存在を見たことが無いということに尽きる。何年かに1回しか来ない外国人だけがその存在を感じて信じ込むってやはり無理があるでしょう。

 

尚、そういった角幡氏の気持ちの動きを知った後としても、本書は面白いですよ。

雪男目撃者たちの、信じていなかったものを信じ込む過程、それにかける情熱、信じるあまり死に至った日本人探検家の話。どれも心に染みます。

 

そんな角幡氏の雪男探索をした後にでかけた本命ツアンポー峡谷探検記がこちら。

 

 

www.faust-ag.jp

 

すげえな、ツアンポー、と思う。

当然生きて帰ってきたから本があるわけだけど、探検の最後に予定が狂って生死を彷徨う場面があり、今どきこんな探検を2010年という最近にもできたんだと驚嘆しつつもハラハラします。

 

凍てつく太陽

凍てつく太陽

 

 2019年、このミスの話題作。

第二次大戦末期を舞台にしたミステリーで、主人公は特高警察官。特高警察で思い出すのは手塚治虫アドルフに告ぐ、だったりするが、いずれにしても良い描かれ方してこなかったのが大部分と思う。しかしこの主人公はそんな先入観とは違い、真面目で優しい。そしてこれが物語の肝なんだけど、アイヌの血が入っている。戦前戦時中、アイヌ民族がどのように周囲から見られ、また彼らがどのように大和人になろうとしていたか、主人公の目を通して何となく当時の空気がわかります。今の自分の感覚では、アイヌなのかどうかとか気にすること自体がよくわからないが。

 

アドルフに告ぐ 1
 

 

そしてミランダを、ベルリン、絶叫、君主論

年末から年始にかけてはこの4冊ほど。

 

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

 

今年のこのミス海外編2位ですよ。うん、面白かった。登場人物それぞれの視点から語られる形式。

しかし、読み上げで、章ごとに視点が変わるのはきつい。今章が変わった、というのが分かりづらくて混乱することがままあったり。まあ注意してれば誰視点に変わったかはわかるとはいえ。

 

IT企業社長のテッドは、たまたま空港のバーで知り合った女性リリーと妻殺しを語ったらなんと後押しされてしまうという。ちなみに妻の名がミランダ。

 

キーワードはサイコパス、かな。いや猟奇殺人は無いですけどね。

 

中盤、ほんとにええぇ!と驚きます。

 

ベルリンは晴れているか (単行本)

ベルリンは晴れているか (単行本)

 

 こちらはこのミス国内編2位。

 

舞台はベルリン。第二次世界大戦終結後間もなく。ベルリン陥落は1945年5月。だからまだ日本は連合国に降伏していない時期だね。

 

主人公はドイツ人少女、17歳かな。アメリカ軍の食堂で働いている。共産党にいたため迫害された両親を持つ。そしてベルリン陥落後街を蹂躙したソ連兵にレイプされた過去も持つ。

 

そんな彼女が、恩人の死をきっかけにソ連軍人から人探しの任務を嘱託され、会いに行くまでの2日間の冒険譚。

 

読後感はいいですよ。お勧め。

 

よくぞここまで、と作者は敗戦後のドイツを臨場感を持って描いている...って当事者の方が読んだらどうなんだろう。

 

当時のベルリンは、3カ国(アメリカ、イギリス、そしてソ連)に分割統治されていたのだ。それぞれ連合国間の思惑を元に住民が翻弄されることもあったのだろう。日本がアメリカ一国の占領支配になったのは本当に良かったと思う。

 

絶叫 (光文社文庫)

絶叫 (光文社文庫)

 

 

こちらは何となく選んでみて。

 

都内マンションの一室で孤独死の状態で発見された鈴木陽子。その一女性の半生が描かれるのだが...

 

いやあ暗かった。

この本も基本一人称形式で視点が章ごとに変わりますな。でも、主人公視点の時は何故か二人称形式(あなたは...する)で、聞き読みしているといつの間にか、自分が本の世界に居るかのような錯覚を起こせますよ。

 

こっちもキーワードはサイコパスといって良いのかなあ。主人公の気持ちをなぞることは容易なれど、実際には実行せんでしょうということをやってくれます。

 

もう一つのキーワードはあの国民的作家(女性)のあの作品だけど、読んでいない人には秘密にしとくべきかな。

 

しかし、どっかで良い選択できたことがあったはずなのにねえ、と。人生の困難を改めて考えます。

 

よいこの君主論 (ちくま文庫)

よいこの君主論 (ちくま文庫)

 

 

 架神さんの作品なので、もちろんユーモアたっぷりです。

 

マキャベリ君主論を説明するのに、舞台のお膳立てを小学校5年生の教室とし、主人公ひろし君が如何にしてクラスメイトを支配していくかが綴られます。

 

5年3組を舞台とした戦国時代を彷彿とさせる群雄割拠。

 

マキャベリ君主論の中では、冷酷非道なことをするのは1回だけ、とかなるほどと感じますな。

 

 

サイコパスの真実 (ちくま新書)

サイコパスの真実 (ちくま新書)

 

 サイコパスについて知りたければこちらかな。中野信子氏の方もあるけど、私は嫌い。

 

でもね、サイコパスって診断名じゃないんですよ。それに発達障害的特性を考えての視点がどの解説本読んでいていも無くて、非常に不満です。なかなか書くのが難しいとは言え。

 

 

ベルリン陥落 1945(新装版)

ベルリン陥落 1945(新装版)

 

 ベルリン陥落についての本といえば。未読ですが、旧版を持ってます。新装版は高いな...。

 

それにしてもベルリン陥落時のソ連兵の暴虐は本当に信じ難いくらい。もし日本が降伏後、連合国の分割統治に遭ったりしていたら...と歴史の綾に震撼してしまう。

 

太平洋戦争 最後の証言  第二部 陸軍玉砕編 (角川文庫)

太平洋戦争 最後の証言 第二部 陸軍玉砕編 (角川文庫)

 

でも実は北海道が降伏後の混乱の中で、本当に占領されていたかもしれないってのはあるのですよ。そうならなかったのは、前線で撤退せずに頑張ってくれた陸軍兵士のおかげ。千島列島最北端は占守島で踏ん張ってくれた兵士たちが居たことは忘れてはいけないのでしょう。

 

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

 

 架神さんの本で一番好きなのはこれです。

 

キリスト教初期ってどうだったの?とか、聖書って残酷じゃない?矛盾だらけじゃない?とか思った人で、キリスト教徒以外の人は、全編笑えること必至。

 

ちなみに私はR教学園というキリスト教の学校で小学校〜高校と過ごした。礼拝が毎日あったり、食事の前は「主の祈り」を唱えたり、クリスマスは英語のクリスマスソングを歌ったり、と今思えば、キリスト教徒でも無い私にとっては貴重な経験。おかげで欧米人の思考法もなんとなく想像つく。

 

しかし、小学生だった私でさえ、「旧約聖書」の神様の残酷さと「新約聖書」の福音書の矛盾だらけの記述はおかしいんじゃないの?と疑問に思っていたくらいです。

 

架神氏の最終章「出エジプト」は、聞き読みしているとそのおかしみと迫力に圧倒されますよ。

四国の雄、長宗我部元親、戦国の大谷翔平たる信親、そして盛親

どうにもこの頃戦国づいてしまっているので、blog紹介も偏りがちだが...

 四国の雄といえば、長宗我部元親

 

南海の翼 長宗我部元親正伝 (集英社文庫)

南海の翼 長宗我部元親正伝 (集英社文庫)

 

 

四国の覇者たらんとした元親の家督を継ぐまでの様子がかなり素敵だったりする。

 

元親は大柄な美少年。武芸に嗜むでもなく、部屋にこもっていた引きこもり。故に「姫若子」とまで呼ばれていたのが、初陣にて槍の使いを習うや瞬く間に勇を奮い、一気に家臣団の心をつかむという。

 

土佐の国を豊かにしたい一途な若者が、家臣と謀(はかりごと)を企んでいくうちにいつしか暗い面持ちになっていく。しかし、それでも彼が嫡男信親を失うまでは理性が勝っていたのだが...最後は暗い終わりになるのが辛いところ。

 

漫画で知りたければまずは「センゴク一統記」9巻を。

 

子、信親のことを知りたくば「センゴク権兵衛」4巻。

 

 

なにせこの信親さんたらば、背は高く美少年なのは父元親譲りな上に、元親の英才教育によく応え、武芸にも文芸にも達者で、性格もピカイチ。家臣はもちろん領民ことごとく接する人間は彼に好感を持ってしまう。

 

いや,誰それよと思ったら現代には大谷翔平がいるじゃん、と思ってしまう。まさにあんな人っぽい。

 

この信親、残念ながら22歳にて非業の死を遂げてしまう。

 

時は、秀吉の九州征伐、島津氏との戦。戸次川の戦い。仙石権兵衛(秀久)が無茶な戦いを挑んだせいで、島津氏の策に乗っかり深入りした格好になった長宗我部隊。信親は奮戦虚しく討ち死にを遂げてしまう。*1

 

その場面、「南海の雄」においても「センゴク権兵衛」でも涙なくしては読めないが、とにかくこんな完璧な子を亡くした元親の嘆きっぷりは物凄かった。

 

元親のそれ以後ときたら...それまでは慈悲深く、家臣の尊敬に値する沙汰をしてきたというのに、謀を繰り返してきた故もあってか猜疑心が一層強くなり、冷酷な処断を次々にしていく。あろうことか、次男・三男を嫡子にするのではなく、四男盛親を嫡子にしてしまい家内を混乱させ、さらに信親の娘を盛親の嫁にしてしまう。その変わりようは、漢を興した劉邦晩年や、呉の孫権の晩年に匹敵する感じ。

 

そんな狂ったとしかいえない元親に後継指名された盛親さん。

 

実は「南海の雄」はそんな盛親が影の主人公。

 

盛親は、家督を継いだ後、関ヶ原の戦いでは西軍についたは良いが、戦闘機会をつかめず撤退、その後家康に改易されてしまう。領地を失った盛親は京都伏見でなんと寺小屋の先生となってしまう。

 

そのままなら徳川方に警戒されつつも安穏な人生を送れたのにね...

 

15年もそうしたのち、天下は最後の動乱を迎える。徳川が秀吉の遺児秀頼を倒すべく興した大阪の陣。

 

盛親はその大阪の陣に参陣。そして知っての通り奮戦した挙げ句、最後は伏見にて処刑されてしまう。小説ではそこまで描いてないけど...。

 

元親は、どうやら最初は土佐の国だけを豊かにすべく領地拡大を考えた...と描かれることが多い。でも、器量がある分、いつの時点か、四国統一を考え、それが後の凋落につながってしまうとも言える。そこまで考えなければ、秀吉とも争わず、一大名として後の時代にもずっと残ったのでは、と思うのだが。その実力、中途半端だったのか、それとも生まれた土地が悪かったのか、時勢が味方しなかっただけなのか、よくわからず、というのが正直なところ。

 

合本 夏草の賦【文春e-Books】

合本 夏草の賦【文春e-Books】

 

 

長宗我部元親といえばどちらかといえばこちらの方を読む人が多いでしょう。司馬さんですから。

 

でもこっちの元親はどうにも感情が無い存在という感じ。感情移入するなら天野純希かな。 

 

 

桃山ビート・トライブ (集英社文庫)

桃山ビート・トライブ (集英社文庫)

 

 

天野純希のすばる新人賞受賞作。

秀吉の窮屈な世(天野純希は秀吉治世が嫌いらしい)を三味線ロックバンドで席巻していくという。

 

影の主人公は、秀吉の後継に一時なっていた豊臣秀次、と思う。

 

 

北天に楽土あり: 最上義光伝 (徳間時代小説文庫)
 

 

伊達政宗を知っていれば、男勝りの母親義姫の兄、最上義光(よしあき)の存在はどちらかといえば憎まれ役といったとこだろう。山形を発展させて最上氏は実は領民にとってとても良い領主であり、極めて優れた人だった。

 

最上義光も実は長宗我部元親と似たところはあって、先見の明あり、山形領内を良く統治すると共に、天下の趨勢をよく見極め、甥の伊達政宗と異なり、いち早く秀吉に臣従した。しかし、その後秀次の世が来ると踏んで、愛する娘駒姫を嫁がせたら、途端に秀次は失脚、秀次にまだ会ってもいない駒姫は粛清されてしまう。さらに、子どもへの家督相続を遅らせたら家康に嫡男廃嫡を指示されそれに従ったところ、元親とよく似た悲劇に襲われてしまう。さらに、義光自身は穏やかな最期を迎えるものの、その後の最上氏は後継争い絶えず、結局最上家は大名ではなくなってしまうのである。

 

なんとも最後が切ない最上氏...。  

 

*1:ちなみに何故仙石権兵衛秀久はそんな無茶な戦いをしたのか。小説と漫画では描き方が全く違ってますよ。

読み上げ最強バトル Kindle vs iOS アプリのブック iPhone 編

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kindleの欠点

 

前々からkindleアプリを読み上げに使っていて、基本的には快適なんですが、いくつか困ったなあと思うことがあります。

 

最も困るのは、画面に出していないと読み上げを中止してしまうこと。

そう、kindleアプリがバックグラウンドになると、今読んでいるページが終わった段階で読み上げが止まるんです。

なので、ずっと書面を画面に出しておかないといけない。

 

これはバッテリー消費が早くなります。

かなり大きな弱点と言っていいでしょう。

バッテリーがへたってきた時に読みあげをさせると、バッテリー消費が早い早い。

 

また、図が出てきてしまうと読み上げが止まってしまうのです。これまた大きな欠点であり、そのたびに、ページをめくって、また2本指スワイプさせないといけない、という手間が鬱陶しいことこの上ない。

 

iOSのブックはどうなのか?

 

最近、iOSのアプリ、ブックを使ってみたのですよ。

そうしたら、なんと、ブックはバックグラウンドになっても読み上げを続けてくれるのです!

 

これは素晴らしいです。わかったとき、思わず小躍りしてしまいました。バッテリー消費を著しく抑えることができるはずですから...。

 

 ところが、こんなふうに感動してたらkindle以上に致命的な弱点を発見してしまいました。

 

・図が出てくると読み上げが止まってしまうだけでなく...

 

上述した通り、kindleでは図で止まります。なので、ページめくるか、そこでもう一度2本指スワイプすれば、「読み上げ可能な内容が画面に見つかりませんでした」という声を出したあと,自動的にページが送られ、次のページから再び読み上げてくれます。

 

 

ところが、ブックでは、図が出てくると止まって、さらにフリーズしてしまうんですよ。そこから回復するには、読み上げを中止させ、ブックを強制終了し(iPhone7だとホーム2回押ししたあとブックを上にスワイプ)、再度ブックを起動させなくちゃいけない。

 

しかもしかも、ブックを再起動させると、どうやら強制終了したのがいけないらしく、前回読み上げを始めた箇所までページが戻ってしまっている!!!

 

続きから読み上げさせたいときには、フリーズした図の箇所まで、手動でページをめくってやっと再開させられるという...

 

だめ、絶対却下。

ブックはバックグラウンドで読み上げ継続可能な素晴らしい面がある一方、この図のところでフリーズしててしまうという欠点により、使い勝手が著しく悪いと言わざるを得ません。

 

私は自動車運転中によく聞き読みをしていますが、ブラインドで操作できるkindleに対して、ブックはその致命的欠陥故に、運転中に再起動だの、手動でページ送りなどの操作は命取りです。

 

自動車運転中にブックの読み上げが止まっても絶対に操作してはいけません!!!

 

ただ、図が出てこない小説では良いと思いますよ。うん、図が出てこない本に限ってはブックが使いやすい。

 

なお、今の私の使用条件は、iPhone7、iOS12であることを書き添えておきます。

もしかしたら、iPhoneXsでは違うかもしれないし、今後のバージョンアップで改善される可能性もあるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

読み上げの欠点、そして誤読の直し方(iPhone編)

さてさて、airpodskindleアプリのタッグは極めて強力なのだが、日本語読み上げ時の大いなる欠点は、漢字をキチンと読んでくれない、に尽きる。

 

例えば、

山々 ⇛ やまくりかえし

立花⇛りっか

姉さん⇛あねさん

自己⇛じいつき

なんて読まれるので、くせを知らずに聞いていると何だ今のは?となるし、内容が全く違って頭に入ってしまうことも多い。

 

例えば、

大柄⇛おおへい

「大柄な若者が入ってきた」が、「おおへいなわかものがはいってきた」となり、聞いている身としてはそうか、「横柄な若者」が入ってきたのか、と認識してしまう。その後の若者の描写が真反対で混乱したりすることも。

 

ちなみに私の一番好きな誤読は、

現生人類⇛げんなまじんるい

である。サピエンス全史とか、ジャレド・ダイアモンドの著作を読むとしょっちゅう出てくるのでおかしみがある。

 

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

 

 

あの「サピエンス全史」は聴き読みオススメ本の最右翼の1つですよ。

超ベストセラーだから、読みたいと思いつつ、読めていない人多いのでは。

こういう本こそ、耳から受動的に頭に入れていくのが良いのです。

疲れずに読めますよ。もっとも一定の知識があると格段に楽ですが。

 

内容的には、序盤の、人間は共通のファンタジーを生み出すことで仲間と協力できるようになったって展開とても新鮮でした。そうか、宗教ってそういう役割なのね、と。

 

歴史ものは誤読のオンパレードだ

 

歴史上の人物であったり、元号であったりは大人であっても読み方が難しいものだが、それにしてもiphoneさんはちゃんと読んでくれないのだ。

 

蒲生氏郷(がもううじさと)⇛がもうしごう

大坂城(おおさかじょう)⇛おおさかいつき

雪斎(せっさい)⇛ゆきいつき

北条(ほうじょう)⇛きたじょう

信長公記(しんちょうこうき)⇛のぶながいさおき

伊達政宗(だてまさむね)⇛だてまつりごとしゅう

 

しごうはまだしも、だてまつりごとしゅうって何よ?ってなもんで、デフォルトで読み上げを聞いていると、ちょっと気分が冴えなくなってくるわけです。

 

耐えきれない誤読は修正しとこう

 

大抵の場合は、誤読も慣れてくるので、聞いても脳内変換していけばいいのだが、それでもやっぱり直したいなあと思うことも多い。

そんなわけで、修正の仕方。

 

iPhoneの場合、

設定⇛一般⇛アクセシビリティ⇛スピーチ⇛読みかた

で登録すればいい。

 

解決ですね。一応ビデオをどうぞ。

 


iPhone読み上げ機能の誤読を修正する

 

 

 

太原雪斎と今川義元 東海に覇を唱えた軍師と名将 (PHP文庫)
 

 

 宮下英樹の「桶狭間戦記」で義元と雪斎のファンになったのならこちら。所々異同はあるけれど、桶狭間戦記で予習をしていたなら、義元と雪斎の出会いから、その最期までかなりすんなり頭に入ってくるはず。
義元の女性への関わりは無いので、そこらへんも知りたいところだけど。

 

 

宮下英樹「センゴク外伝 桶狭間戦記」

すみません、読み上げで読んだのではないですけど。

 

 

 

センゴク」シリーズの外伝。本作の主人公は今川義元である。えぇ?と思いません?


今川義元ですよ?


あの公家ばりにお歯黒して、ほんとに武士かよ?みたいなナヨナヨした外観で描かれることが多く、輿の上で殺されたという。

 

あの桶狭間を描くというのであれば、信長と思うじゃないですか。

 

ところが本作の主人公は義元であり、義元の養育を担当し後には軍師的役割をした雪斎なんですよ。まあ雪斎の今川家における活躍はほぼどの作品でも描かれているのでわかる。多くは、どうしようもない義元も、雪斎が居るから領地運営が成り立っているのであり、雪斎なければすぐにも滅びるだろう、現に死去後ほどなくして桶狭間で敗れているのだ。

 

この前読んだ「信玄の軍配者」なんかではひどい書かれようでしたよ義元さん。

 

という義元だが、実際には名君であった。というかそうでなければできないことを沢山している。そもそも、雪斎が優秀であればあるほど、そんな人が側に居続けるためには、主としてまた弟子として魅力が無ければありえないと思えるわけだ。そして、「戦国武将の実力」を読めば、義元は領国の商家に随分な自由を与えつつ年貢収入を増やし、国を周辺国に比べて一際豊かに運営したのみならず、第二次川中島合戦において武田信玄上杉謙信の和睦調整を成立せしめるだけの実力を持っていたこともわかる。

 

そんな義元の名君ぶりを本作は描く。ADHD気味に描いているのは信長なら従来からあったが、義元では新鮮。もちろん義元の人物像は作者の想像ではあるが、こんな人ならば、上記の領国経営の巧みさ、雪斎が常に側にいたこと、岡部孝信のような家臣が忠義を誓い(彼は織田方から首を返還せしめたのだ。義元が暗愚だったらそんなことしないだろう)闘ったことも納得がいく。それに義元は史実でも勇壮だった。織田方武士毛利新助に首を取られるわけだが、彼の前に斬りかかってきた武士には手傷を追わせているわけで、軟弱じゃなかったのよ。

 

 

本作は勿論若き信長も丁寧に描く。信長が銭の確保に領国の安定を、支配の拡大を約束することを見抜いた過程を描き、ココらへんも、武芸のみが強調されて描かれがちな他作品との違いだろう。生駒の方との恋愛もまた新鮮。

 


さてさて、本作では事あるごとに強調されるのが戦国時代は実は小氷河期にあたっており、普段は雪など見られない場所時期にも雪が振り,それがため米の収穫が劣り、飢饉に見舞われた大変な時代であったことである。そういった視点が無いと、戦国大名たちが群雄割拠した時代の成立要因がわかりかねるというのはずっと昔に習いたかったことだな。

blogos.com

 

著者の宮下英樹は現地取材を入念にしている漫画家だが、あとがきにこう書く。


今川義元という人物との出会いは、格別に幸せなものでした。義元を知れば知るほど、同時代の誰よりも先進的で、カリスマを備えた大名だと強く感じるようになりました。」


本作を読めば自分も一度墓所に手を合わせたくもなる。
そう、義元は戦時においても自軍の兵士に戦闘地での略奪、強姦、暴行行為などを許さなかったという。現代的価値観から見ても素敵な人だと想像できるというものだ.

 

 

信玄の軍配者(上) (中公文庫)

信玄の軍配者(上) (中公文庫)

 

 

山本勘助の名前をよく知らないとさ、本書を読んで、足利学校すげーとか、親友たちが北条や上杉のもとで活躍してて、なんだかすんごい友情話が戦国期にあったのね、と感嘆してしまうが、創作ですよね。そもそも勘助自身の存在がどれだけのものだったかもわからないので、まあ勘助に仮託した戦国小説ですな。語り口は上手いし、面白いですよ。うん。勘助の苦労には泣かせられます。でもでも実際にはどうだったんだよう??と思ってしまう私はひねくれ者ですみません。もう一度言いますが、面白い良い小説です。でも完全なフィクションです。これで山本勘助像を頭に作ってはいけません。

 

 

王になろうとした男 (文春文庫)

王になろうとした男 (文春文庫)

 

 

義元を屠った毛利新助のことを知りたくば。かっこいいですよ。不器用だけど。親友だった(ほんとは?)塙直政との生き方との対比、よく書けてますね。

 

 

 

 

ペルー日本大使公邸襲撃事件の話

あのペルー日本大使館襲撃事件の話。著者は自ら人質でもあり、当時は元ペルー海軍の提督、後にアラン・ガルシア政権で副大統領になった人。事前にNHKの日本人人質の回想を読んでいたのだが、日本人は事件解決に置いては完全に蚊帳の外に置かれていたので、あの時何が起きていたのかはよくわからなかった。本書で、初めてフジモリ政権が具体的にどのように作戦立案をし、そして中の人質の暮らしぶりと、果たした役割が理解できる。著者を含めた多くの人質が理性を保ち、126日もの長い間1人の犠牲者も出さずに過ごしたのだから凄いことなのだ。

 

日本大使公邸襲撃事件―占拠126日と最後の41秒間

日本大使公邸襲撃事件―占拠126日と最後の41秒間

 

 

とはいえ、あの事件に関しては以前より様々なわだかまりを持つ。例えば日本政府が蚊帳の外に置かれ、非常に情けない役回りしかできなかったこと(という認識)、日本人は人質に置いても蚊帳の外だった件(という認識)、そしてテロリスト全員射殺というのが正しかったのかどうか、など。

 

 

全員射殺に関して釈然としない感情を持ってしまうのは、彼ら全員が筋金入りのテロリスト(MRTA)というだったわけではなく、半分は山の奥地で誘われた10代の少年少女だったからだ。彼らはそもそもMRTA幹部たちと違って政治思想を強く持っているわけでもなく、人質の、特に日本人たちと親しくなってしまったりする。そのうちの少女1人は本書の著者いわく日本人の若者と恋仲になってしまった。そして彼女は最終局面で日本人を撃つことに躊躇し、引き換えしたところを突入部隊によって射殺されるのだ。非常に切ない場面で、悲しい気持ちにならざるを得ない。彼らはあまりに純朴で、この仕事(大使館立てこもり)が終わったら、ペルー軍に入るとか、日本に行く、とか言っていたらしい。脳天気もいいところ、というか騙されて連れてこられたようなもんなのだ。

 


とはいえ、突入軍の方針である全員射殺は状況を考えれば致し方ない作戦なんだろう。誰が襲ってくるかわからないわけだし。事件解決後、ペルーでは反フジモリ派が力を持ち、突入軍の「罪」が問われてしまうのだが、それは理不尽だろうと感じる。突入軍の指揮官バレル中佐は逃げ出す人質をかばってあっという間に殉職もしてしまい、読んでいてその場面が一番辛い。

 


ペルー政府、すなわちフジモリ大統領の非情ぶりは、著者によっても人質の立場としてはという但し書きで強調されるが、そこの是非はかなり微妙に感じる。確かにあのときの橋本政権のものの言いようは、本書冒頭で佐藤優が非難気味に述べるように軟弱でテロ対策をわかっていない、と言えそうだが、そうはいってもあれがあったからこそフジモリ政権も強行策実行まで随分待ったし、テロリストと交渉しないというのも、決して世界標準ではないこともわかる。ある意味、この事件では日本人の甘さが結果的には人質の命を救ったと思えてしまうのは私だけか。

 


また、日本人人質たち。恐らく著者を始めとした日本人達以外からすると余りに無防備で、かつテロリストたち(彼らはゲリラとみなされたかったらしい)と親しくなりすぎに見えただろう。でもそれがあったからこそ、テロリストも土壇場で人質を殺せなかったのだ。テロリストたちがプロ的でなかったのも幸運だったが、事件解決に蚊帳の外的だった日本人も実は人質全員無事(正確には解放後に1人死亡)に果たした役割は大きかったのではないか。無意識なればこそだけども。

 

 

 

これは日本人商社マン側からの人質事件。ジャンピエトリの本では非常に影の薄かった、日本人民間人の物語。

 

頑張りましたね。日本赤十字の看護婦さんたちが役立たずと思われながら、トイレ清掃に頑張ったお話など日本人としては複雑だが大事な役割を果たしてくれたことには感謝。

 

 

封殺された対話―ペルー日本大使公邸占拠事件再考 (20世紀を読む)

封殺された対話―ペルー日本大使公邸占拠事件再考 (20世紀を読む)

 

 

こちらはジャンピエトリには甘いと言われそうだが、テロリスト全員射殺に対する違和感を、人質当事者として抱き続けている側から。

 

実はまだ読みかけだが、ジャンピエトリ本はあくまでも制圧側からの視点でテロリストそれぞれを書いているが、本書では1人の人間として彼らが実際どのような背景のもとに育ち、ああいった行動に至ったのかがより重層的に描かれている。

 

部外者としてはやはり日本人の感覚は甘いのか、という部分を捨てきれない、いや自分も本書の小倉氏のように釈然としないと思うんですよ、ああいう完全制覇は。一方では勿論、人質全員救出できたことは称賛すべきとわかってはいるんですが。

 

ペルー兵士が突入した際に、テロリスト側の女性が日本人人質に銃口を向けながら結局撃たなかったのは、日本人の甘さが役立ったんじゃないかなあ。

 

ところで、ジャンピエトリ本でテロリストと日本人の若者が恋仲になったと書いてあるけど、一体誰なんですか。