聴き読み日記

主にアップルのAirpodsとkindleアプリを使って「耳」で本を読んでます

真田丸に見る秀吉の黄昏とアルツハイマー病

さて、遅ればせながら私は三谷幸喜脚本の大河ドラマ真田丸」に夢中になってしまったりしてます。

 

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正直これまでに見たドラマのベストなんですが(もちろん他にも沢山いいのはあったけど...)、精神科医的に心が癒やされたのが、老いた秀吉と、その介護にあたる真田信繁(後の幸村)を描いている第30章「黄昏」の回。

 

この回描かれるのは秀吉晩年。第二次朝鮮出兵の直前。秀吉はその才気と陽気で人たらしの性格を使ってのし上がった上に織田の天下を継いだ言わずしれた戦国の英雄。しかし、晩年はとにかく老いた故か、朝鮮出兵のような後に禍根を残すことになる施策や、秀吉をからかった落書きに対して周囲さえついていけない残酷な仕打ちを番の者たちにしたりしてしまっている。

 

それはともかく今日話題にしたいのは、認知症になった秀吉に付き従い、甲斐甲斐しく世話をする真田幸村の姿。

 

キャプチャー映像を見ながら(著作権気になりますがこれはきちんとした引用と解釈して欲しい...)。

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秀吉の側に呼ばれた石田三成片桐且元。秀吉脇には真田幸村(当時は信繁)が付き従う。老いを悟ったのか秀吉は三成と且元に金子を渡す。脇にいる幸村に気を使う且元は「信繁には?」と秀吉に問うと、秀吉は信繁の顔をしげしげと眺めて「(こんなやつは)知らん!」と(1)。

 

「我々は長い付き合いだから」と三成・且元に信繁は気の毒そうな目で慰められるが、彼らが去った後瞑目し、ショックを隠せない(2)。そりゃそうだろう、これだけ甲斐甲斐しく世話を焼いているのに存在を忘れられてしまったんだから。

 

そこへいつの間にか近づいていくのが秀吉(3)。なにやら様子がおかしい。ちょっと来い、ちょっと来いと信繁を障子裏に手招きして一緒に隠れて「遅いのう、市松(福島正則の幼名)は」とつぶやく。

 

このシーン,実は信繁が始めて秀吉と直接会った日の再現で、以前はこのまま秀吉について芸者遊びの場に抜け出すのだが、老いた秀吉は今その過去に戻っているのだ。そこに気づいた信繁は当時と同じように初めてのふりをしながら、「もしや秀吉様では?」と(4)。振り向いた秀吉はここで信繁の心を救う一言を。「わしは利発な若者が大好きなのじゃ。そちも一目見て気に入った!」と。

 

しばし過去の再現に付き合った信繁は優しく秀吉を床に誘導し、休ませる(5)。 

 

この姿が真実であるかは置いといて(いやこの下りのすべてが三谷氏の創作なわけですが)、このシーン、本当に好きなのだ。

 

かつての姿を失っていく認知症の秀吉、我慢して、時にすごいショックも受けながら介護する信繁の姿、そして過去を生きる秀吉は信繁に会うとかつてと同じ反応...認知能力は落ちても人格の核の部分は変わっていないところに介護者が救われる場面。いや、脚本の三谷氏、ほんとに優しい。晩年人格が変われども秀吉に尽くす信繁に救いを与えてくれた。

  

認知症のご家族は経験している方も多いと思うが、時に認知症、特に過去の記憶も次第に失っていくアルツハイマー認知症では子どもや配偶者の顔を忘れてしまう。過去にさかのぼって生きているのだとしたら、そりゃあ目の前の老人がかつて愛した人だったり、中年男女が自分の可愛かった子供であろうはずが無いもんだ。そう、若い頃の写真を見せれば思い出してくれるかもね、と思いますが、やったことは無いのでどうなんでしょう。

 

ところで、秀吉は恐らくアルツハイマー認知症として描かれていると思うのだが、それにしては易怒的となり、人格変化がやや強い点でアルツハイマーではなく、以前本blogで書いた、嗜銀顆粒性認知症なのかも、という気もしたりする。

 

neurophys11.hatenablog.com

 

 

真田四代と信繁 (平凡社新書)

真田四代と信繁 (平凡社新書)

 

 

 時代物を読んだり見たりすると気になるのはどこまでが事実なのか演出なのか、そして虚構なのか。

本書はドラマの時代考証を担当した丸島氏による真田信繁論なので、非常に参考に。

また次のネット記事、丸山氏へのインタビューで、非常に誠実に考証されたのだとわかる。リアルタイムでは詳細なツイートしていたとのことで、あぁその時に知っておきたかった。

 

toshin-sekai.com

 

 

 

ところで、真田丸を見て印象が変わった最右翼といえば石田三成じゃなかろうか。ちょっとドラマではかっこよすぎな気もするが、有能であり、秀吉への忠誠心は本当だったのだろう。ほんと、惜しいよ、三成さん。もっと天下のことを考えて生き残って欲しかった。もしくは大阪の陣までいてくれれば...それは無理だったかな。蓄財を全くしていなかった真面目さが胸を打つ。 

 

 

知られざる名将 真田信之 (だいわ文庫)

知られざる名将 真田信之 (だいわ文庫)

 

 

ドラマでは信之はやや情けない描かれ方をしていたが、この人なくして真田家は幕末まで残らなかったのであり、超名君である。あの時代に93歳まで生きたのだ。暮らすなら信之殿の下がいい。

 

 

峠越え (講談社文庫)

峠越え (講談社文庫)

 

 

ドラマ真田丸では当然家康は信繁の仇敵になるのだが、三谷氏の家康なかなか気弱な人でユーモラス。特に序盤、信長死去の方に触れた時家康は京都に行く途上であったため、急ぎ国に帰る必要があったのだが、その時の「伊賀越」の描き方は、気弱な家康が随所で覚悟を決めつつ三河に帰り着く様がとりわけ面白かった.

さて、信玄や信長に怯えつつしかし結果的にはそれら重しを除いていける家康の知謀を描いたのがこの小説。フィクションですよ、もちろん。でもこの線で小説の後も読みたいのだが...。

 

抗NMDA受容体脳炎、ペイパル創業者、山野井泰史、数学の天才

 

脳に棲む魔物

脳に棲む魔物

 

 

これはすごい。

著者、スザンナ・キャラハンは本にある病気になった時24歳。
訳者のあとがきにあるように、本書の構成は、前半が著者の次第に悪化していく詳細な精神症状と、医師による相次ぐ誤診、診断が確定されない中どんどんと精神状態が悪くなっていくさまと困惑する周囲の記述は、ホラー小説を読むかのよう。

 

実は私は読む前から診断名を知っていたし、精神科医でもあるので、この前半は読み進めることが非常に辛かった。我が身を振り返っても、24歳という若さで幻覚・妄想が出て来た場合、統合失調症ないしは双極性障害と診断してしまう可能性は高い。あえて言えば、突然の発症、それまでの社会適応からして、『この人がこんな症状を呈するのだからそこには何かがあるには違いない」という確信が持てた時に、見かけの症状からの診断を疑うことができ、徹底的な検査を繰り返すだろう。

 

スザンナ・キャラハンは何度も、精神疾患の確定診断から長期に不毛な治療へと導入される危機にさらされた。高名な神経科医からきっとこれは器質的な(身体に原因のある)疾患だと疑われて血液検査を受けても正常だったこともあり、一時は匙を投げられる。本人が書くように、本当にたまたま同じ病気を疑える病理に詳しい医師に出会えたこと、その医師でさえ3年前に経験していなければ果たして診断が出来たかわからない。

 

診断に至るまでの間、離婚してバラバラだった両親との絆、そしてボーイフレンド(恐らく彼も若いだろうに!)の示す彼女への献身的な愛情が本人を支え続けた。信じがたいほどの彼女への愛と信頼だと感じられた。諦めなかった彼らに感動する。

 

 

映画化されてるんだ。へえ。

eiga.com

 

HARD THINGS

HARD THINGS

 

 

昔懐かしいネットスケープナビゲーター開発者が書いた本。経営術だが、正直で実践的な内容をblogに書いていたのを本にしたようだ。

彼は今成功しているファンドマネージャーとして認識されているが、たとえ、現在が成功した経営者であっても、その過程は平坦ではなく、絶望し、破滅の一歩縁まで足をかけている状態を経験しているようだ。

筆者はその時の心情を赤裸々に書くと同時に、極めて実践的なアドバイスを限界を示しつつ読者に提示する。
私にとっては、これまでやってきた仲間である親友を切る、袂を分かつ、そのやり方が大いに参考になった。

 

ベン・ホロヴィッツは今や成功投資家らしい。投資家ってどうやってなるのよ。

 

垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)

垂直の記憶 (ヤマケイ文庫)

 

 

山野井泰史氏は、登山好きな人なら多くの人が知る日本というか世界を代表するクライマー。テレビの情熱大陸で紹介されたことがあり、動画検索してまずはどんな人かを知ってもいいかもしれない。妻の妙子氏も世界的なクライマーであり、夫婦2人で難所にアタックしている。

 

夫婦共に、手足の指の多く(妙子氏はほとんど全部)を凍傷で切断しているのだが、特にその原因になったのが、2002年ギャチュン・カン北壁へのアタック。その様子は、沢木耕太郎「凍」にも描かれていた。「凍」で私が印象に残っているのが、8000mに迫らんとする断崖絶壁でロープをブランコのようにして夫婦2人耐え忍んだ情景。

 

本書ではその、凍傷で指を失ったアタックの様子を本人、一部は妙子氏の記述を交えつつ知ることができる。

 

なんつーか、ギャチュン・カン北壁へのアタックも、妙子氏の調子が上がらず、「降りる」といっても泰史は普通に頂上までのアタックを続行するし、雪崩にあって妙子氏が落下したなかで、泰史は助けに向うわけだが、目も見えなくなるわ、厳寒の中で指先で岩肌を探るために既になるわ、ともう読んでいられないような記載が満載で、心臓に悪いったら。

 

絶壁を降りきった後も、仲間の居るキャンプまでは氷河上を延々と歩く必要があった。食事も殆ど出来ず、体力は限界な中、最後に泰史は歩みの遅い妙子氏を置いてキャンプまで先行することを決め、生きて再会できるかわからない妻の写真を撮る。2人とも生きていることを知って読んでいるはずなのに、本当に大丈夫なのかという気持ちが頭を離れない、そんなギャチュン・カンのアタックが最終章。

 

他の章でも泰史氏のほとんどがソロ(単独)で難所へのアタックをする中での氏の思考過程やら、名クライマーならではの技術的記載などがあって、時折読むのが辛くなりつつも夢中で読める。

 

泰史氏は、山で死ぬことが出来たら後悔しないようだが、頼むから死んでほしくないと、一読者として強く思う。

 

 

凍 (新潮文庫)

凍 (新潮文庫)

 

凍はこっち。文章は作者らしくかっこいい。読んだの昔なので、印象に残っているのは、絶壁ブランコのみ。

 

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

 

 天才といえば数学者。

 

著者はすでに「心は孤独な数学者」において、ニュートン、ハミルトン、そして史上最大の天才ラマヌジャンについて1冊にまとめているが、本書はそれを凝縮してさらに関孝和、ガロワ、コワレフスカヤ(女性!)、チューリング、ワイル、そして現代のワイルズを加えている。どの人物も大天才であり、そして著者が栄光と挫折と書いている通り、ワイルズを除けば、最後は挫折や苦悩の中で亡くなった一生を送っている(というかそういう風にまとめている)ために読後感としては切なさが残る。ワイルズだって、サイモン・シンフェルマーの最終定理」にもあるように、証明をもたらした谷山・志村予想をめぐる逸話は哀しすぎる。


関孝和について、彼は沖方丁天地明察」で名を知られた渋川春海と同時代に生きていたことは小説でも印象的に語られていたが、本書での春海との間柄は小説のそれとは全く異なる。本書の著者にとって、数学をしっかりと理解していなかった春海は無能に思えるらしく、関のような天才と並び称すことは許せないし、小説にあるような形で関が春海を見守ったとは絶対に思えないようだ。「天地明察」を読んだ方は、2人の間柄についてここまでコントラストが違うことに興味が湧くのではなかろうか。

 

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

 

噂の天地明察はこちら。 ちょっとした記述の間違いは、気になってしまう。ストーリーは面白いですよ。

 

 

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

 

で、アンドリュー・ワイルズ が如何に証明したかを綴っているのがこれ。ノンフィクションのオールタイム・ベストの1つ。いつかご紹介。

 

 

満州、室町少年、大助少年、ペリリュー

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)

五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後 (集英社文庫)

 

 

今年上半期No.1かな。とても良かった。満州に建国大学という五族協和を謳った大学があったこと、そして学生たちは本気でそう考えていたこと、優秀な学生たちの戦後がどの国民であったか、というかどこで終戦を迎えたかによって如実に違っていたという事実に驚き、ショックを受け、そして感動する。著者は私と同い年だが、35歳時の取材によるという。インタビューから諸事情により出版までは4年以上かかった。証言者すなわち建国大学卒業生は当然ながら80-90台のご老人たちで、証言を得るには本当に最後の機会だった。出版時にはインタビューした何人も亡くなっているのだから。この本が存在できたことが奇跡のようにも感じられる。尚、個人的にある意味衝撃だったのは戦時中残酷な指示を次々と出し、サイコパスとしか思えない辻政信が、建国大学教官であったこと、そして学生たちへの態度はまさに良い教師そのものであったこと。人間の持つ二面性を示すと言うか、彼にとっては実験場だったのか。

 

そういえば、私の患者さんに実は満州鉄道高官のお嬢さんという方がいらっしゃる。いかにも歴史の証人という方からのお話が聞けてとても感銘を受けたのだが、同意も得ていないのでここには書けず残念。

 

室町少年倶楽部 (文春文庫)

室町少年倶楽部 (文春文庫)

 

 

山田風太郎さんは室町のことも書いているのね。主人公は8代室町将軍足利義政、だが、前半は彼に使える細野勝元とその舅山名宗全について詳しい。彼らは、そう、応仁の乱の主人公。若いときの細川勝元とか、才気と正義感あふれる好漢で、義政少年を、素晴らしい君主とすべく一生懸命指導する。ほんとにそうだったのかは置いといて...そんな勝元と義政の夢の破れ方というか、なぜああなっちゃったの?という過程が面白く描かれていて、普段馴染みのないこの頃の人達に共感を持てること必至。特に、足利義政は確かにしょうもない人だったと知ってはいても管領細川勝元とか、山名宗全の人となりまで含めてイメージの湧く人は少ないだろう。この時代に応仁の乱が勃発し、それは戦国乱世へと繋がっていったのだが、義政が義政でなかったら、つまり政治を離れ、文化に傾倒していなかったら今残るこの時代の遺物は相当寂しく、また文化の発展も遅れただろうと想像する。作者が義政にセリフとして言わせているとおり、現代の我々にとっては義政が居てくれて本当に良かったとは思う。

 

秀頼、西へ (光文社文庫)

秀頼、西へ (光文社文庫)

 

 ドラマ「真田丸」観た人で、主人公真田幸村の嫡男、真田大助と幸村との父子の別れに涙しなかった人はいないだろう。大阪夏の陣、序盤の豊臣方有利に進む中、秀頼の大阪城からの出陣を促すために使者として派遣された大助。幸村の側を離れたくない大助を諭し、別れる場面では他の将たちも涙したという。その後、結局は豊臣方が敗北、大助は大阪城内で自刃して果てる。わずか14歳。

 

というのが史実だけど、真田幸村・大助親子や豊臣秀頼が大阪の陣で死なずに薩摩に逃げ去ったという伝説があったりして、現に彼らの墓所が存在する。そんなファンタジーを小説にしてくれたこの本。彼ら、といっても幸村は無理だけど、大助・秀頼の逃避行を描くのがこの小説ですよ。個人的にあの大阪の陣で最も悲劇性を感じたあの真田大助の死。その大助がもし生きていることができたら…という夢想を叶えてくれているこの作品に私は救われてしまう。もちろん、それを抜かしても面白いですよ。

 

 

ペリリュー・沖縄戦記 (講談社学術文庫)

ペリリュー・沖縄戦記 (講談社学術文庫)

 

 この本だけはkindle本じゃありません。

太平洋戦争を描いたアメリカドラマ、「パシフィック」観た人、いるでしょうか。ドラマの原作の1つがこれです。著者のユージーン・スレッジハンマーはドラマの主人公の1人でもある。*1

彼は医者の息子で、愛国心はあるもののどちらかといえばひ弱に見られがちな若者だったようだが、工科大学を中途でやめ、陸軍海兵隊に志願して入り込む。そして体験したのが、ペリリュー島硫黄島、そして沖縄における日本軍との苛烈な戦いである。ペリリューはNHKでも特集があったが、戦闘中にアメリカ軍にとって戦略的に無意味になったにもかかわらず攻防が続き、日本軍がほぼ壊滅、勝ったアメリカ兵も多くの死傷者と精神崩壊者を出した激闘の場になった。正直私は、太平洋の多くの島で日本軍が玉砕したことを考えると、アメリカは一方的に、そして楽に勝ったかのように認識していた。が、パシフィックを観、本書を読めば、決してそんなことはなく、前線のアメリカ軍兵士にとっては余裕などかけらもない、苦しい戦いの連続であったことがわかる。

沖縄での民間人を交えたいくつかのエピソードは特に印象的で、人間性を失わないと敵側を殺せなかった兵士たちが、民間人を極力犠牲を払わないように、人道的に扱おうとしていた部分と、民間人に対してさえ人間性を失う一部兵士によって様々な被害があったこともわかる。

さて、苛烈な戦争を体験して帰国した彼らを母国は英雄として称賛したものの、スレッジたち兵士はあの戦いを理解してもらえず、また兵士たちからすればのうのうと過ごしていた母国の人間との間の気持ちのすれ違いは大きかったようだ。

第一次大戦に従軍したイギリス人の詩がまさに気持ちを表しているという。

 

あなたたち 乙に澄ました 燃ゆる瞳の群衆よ

若き兵士の行軍を 歓呼で見送る人々よ

家に帰って 祈るがいい あなたたちにはわからない

若さと笑いの行くところ それが地獄だということが

 

スレッジは随分苦しんだ後、生物学の教授になったという。良い人生を送ったと感じてくれたのなら嬉しいのだが。帰国後日本をどう思っていたのか、気になる。

 

今日の関連本と漫画をいくつか。

 

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)

 

 

 

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)

 

 

 

真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実 (角川選書)

真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実 (角川選書)

 

 

 

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

 

 

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*1:パシフィック、アメリカ側から描いてますが、決して日本を一方的に悪く描いたりしていない。というかアメリカ兵の残虐な部分も描いている。アマゾンプライムで見放題。お得すぎ。

太平洋戦争、サリン死刑囚、先崎学九段、密約

さて、8月は終戦記念日もあるということで、振り返りたい第二次世界大戦

 

 

大日本帝国の興亡〔新版〕1:暁のZ作戦 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

大日本帝国の興亡〔新版〕1:暁のZ作戦 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

科学では新しい論文・書籍でないと意味が無いことも多いが、歴史書も最近は新しい発見や、定説に対する科学的検証で色々ひっくり返ることも多くて同じ傾向がある気がする。

 

とはいえ、当事者への取材、が時を経ることに難しくなるのが歴史であり、執筆に当たり多くの当事者へのインタビューがされた本書は非常に貴重に感じる。

 

本シリーズ第1巻は、昭和前半の政権の混乱が始まり軍部が次第に独走していく過程。2・26事件が起きた当時の緊迫した世情がよくわかる。中国戦線が拡大し、太平洋戦争直前で終わるが、軍部を含めてアメリカも開戦を回避しようと必死だったのは多くの人が習っていないことではなかろうか。連合艦隊司令長官山本五十六アメリカの国力を考えて、日本が海戦すれば必敗と認識しており、開戦避けるべしとの意見を持っていたのは知られているが、一方でいざ開戦になればそれは奇襲しか成功の道はないとも考えていたりした。それにしても中国戦線の拡大が当時の政権の考えではなく、軍部の暴走ではあったのだが、それをコントロールするチャンスはあったのに尽く逃してしまったのがもったいないというか...

 

 

サリン事件死刑囚 中川智正との対話

サリン事件死刑囚 中川智正との対話

 

 

サリン事件に関わった医師の1人、中川死刑囚。執行されたこともあり、ようやくこの人のことを知ることができた。京都府医大に入れたのだから秀才なのは間違いない。その人がどうして、というのは、もうひとりの医師林郁夫と並んで興味を持っていた。ただ、林郁夫は積極的な捜査協力もあって、無期懲役減刑され、手記もまた出ているからある程度は知ることが出来てたが、中川に関しては余り知らなかった。結局麻原に帰依した部分などはよくわからなかったが、言葉の端々からは承認欲求が強かったのかなとは思ったりする。

 

著者は幾度も重ねた面会の中で中川の誠実な回答に満足していたようだ。実際彼の証言はサリン製造に関係して大変興味深いし、その中で警察機構が証拠の捏造をしている(オウムがやっていたことは確実だが、証拠として掴むのは難しいためだからだろうが)ことも示唆していて、彼らが死刑になったのは致し方ないにしても、解明されるべきことは残ったままになったなとは思う。著者の最後の一文に気持ち的には救われる。

 

 

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
 

 

あの先崎学さんがうつ病になっておられたとは!!!という衝撃と、うつ病真っ最中の心情から回復の過程まで詳らかに告白されている貴重な本。先崎さんのお兄さんは大変優れた精神科医のようでそれは弟である学さんにかける言葉からもわかる。この本の私の精神科医として貴重な点は、うつ病期の何もやれないときは退屈すら考えられないことが実感としてわかったこと、どのような対応や周囲の声かけが本人に心強いかがわかったことにもあったが、最大はこれだ。つまり、回復過程が将棋の難易度の上昇という、医学物差しではない、しかし十分に定量的な指標で示されていることだ。先崎さんの勇気に感謝するとともに、さらなる回復を祈りたい。

 

 

世界を変えた14の密約

世界を変えた14の密約

 

 

序盤、とても面白く感じたけど、一部陰謀論に過ぎたり、強引に過ぎる記述も多いかな。密約というけど、実際に二者間で密約なるものが本当にあったというものばかりではなくて、比喩ね。ポストファクトの時代に関しての記述は参考になる気はしたけど、精神医療に対する記述の甘さ、憶測がひどいことを考えると、全編通じて信じるわけにはいかない。

 

聴き読み日記

もうこの4年ほど、私は本の大部分を耳で聞いている。

そのことは別ブログに1年前に書いた。

 

neurophys11.hatenablog.com

 

特別読まれる記事でも無かったし、周りの皆に勧めても誰もチャレンジしてくれないのだが、「聴いて読む」ことの生活における重要度は少なくても私には少しも衰えていない。

 

「聴き読み」に利用するのは専らiPhone+Airpods+Kindleアプリの組み合わせなのも変わらない(Andoroidでも勿論できる)。

 

とにかく冊数が稼げる

 

聴き読みのメリットはとにかく冊数。私の場合自動車通勤なこともあり、日に片道約30分、往復で60分の聴き読み時間が得られる。ただし、そのうち20分程度はラジオのポッドキャストやテレビに使うので、大体1日平均では40分くらいか。それが週に6日、年40週として40分x6x40=9600分(160時間)。それに加えて、買い物のときや何かしら手を動かしている時間は聴き読みに費やすことがほとんどなので、まあ適当にざっと年間200時間くらいが聴き読み用に使えているのかな。

 

で、2017年8月1日から2018年7月31日までに聴き読みで読了した書籍は140冊だった。

 

それなりに多いよねえ?

 

ただ、費やした時間が200時間とすると1冊あたり、1.42時間。2時間弱。あり得るかな?でも、kindle用に極めて短いページ数になっているもの(10-30ページ位とか)もあったりするので、そういうのや、ときには普通に目を通じて読んでいるので、冊数としては十分あり得るか。

 

聴き読みを併用せずに年間140冊は読めていないし、実際にはkindle版が無いものも買って読んでいるので、この1年で180冊前後読めているはず。

 

というわけで冊数が稼げます。

それが一番のメリット。

そしてジャンルも幅広く読めます。

 

皆も聴き読みしよう。

 

これから聴き読みした本を備忘録も兼ねて紹介していきます。基本は1回核となる4冊をKindleで聴き読みしたことを前提に。たまに気になる他のことも交えて。