生産力を上げるなら聞いて読め_精神科医の聴き読み日記

主にアップルのAirpodsとkindleアプリを使って「耳」で本を読んでます

そしてミランダを、ベルリン、絶叫、君主論

年末から年始にかけてはこの4冊ほど。

 

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

そしてミランダを殺す (創元推理文庫)

 

今年のこのミス海外編2位ですよ。うん、面白かった。登場人物それぞれの視点から語られる形式。

しかし、読み上げで、章ごとに視点が変わるのはきつい。今章が変わった、というのが分かりづらくて混乱することがままあったり。まあ注意してれば誰視点に変わったかはわかるとはいえ。

 

IT企業社長のテッドは、たまたま空港のバーで知り合った女性リリーと妻殺しを語ったらなんと後押しされてしまうという。ちなみに妻の名がミランダ。

 

キーワードはサイコパス、かな。いや猟奇殺人は無いですけどね。

 

中盤、ほんとにええぇ!と驚きます。

 

ベルリンは晴れているか (単行本)

ベルリンは晴れているか (単行本)

 

 こちらはこのミス国内編2位。

 

舞台はベルリン。第二次世界大戦終結後間もなく。ベルリン陥落は1945年5月。だからまだ日本は連合国に降伏していない時期だね。

 

主人公はドイツ人少女、17歳かな。アメリカ軍の食堂で働いている。共産党にいたため迫害された両親を持つ。そしてベルリン陥落後街を蹂躙したソ連兵にレイプされた過去も持つ。

 

そんな彼女が、恩人の死をきっかけにソ連軍人から人探しの任務を嘱託され、会いに行くまでの2日間の冒険譚。

 

読後感はいいですよ。お勧め。

 

よくぞここまで、と作者は敗戦後のドイツを臨場感を持って描いている...って当事者の方が読んだらどうなんだろう。

 

当時のベルリンは、3カ国(アメリカ、イギリス、そしてソ連)に分割統治されていたのだ。それぞれ連合国間の思惑を元に住民が翻弄されることもあったのだろう。日本がアメリカ一国の占領支配になったのは本当に良かったと思う。

 

絶叫 (光文社文庫)

絶叫 (光文社文庫)

 

 

こちらは何となく選んでみて。

 

都内マンションの一室で孤独死の状態で発見された鈴木陽子。その一女性の半生が描かれるのだが...

 

いやあ暗かった。

この本も基本一人称形式で視点が章ごとに変わりますな。でも、主人公視点の時は何故か二人称形式(あなたは...する)で、聞き読みしているといつの間にか、自分が本の世界に居るかのような錯覚を起こせますよ。

 

こっちもキーワードはサイコパスといって良いのかなあ。主人公の気持ちをなぞることは容易なれど、実際には実行せんでしょうということをやってくれます。

 

もう一つのキーワードはあの国民的作家(女性)のあの作品だけど、読んでいない人には秘密にしとくべきかな。

 

しかし、どっかで良い選択できたことがあったはずなのにねえ、と。人生の困難を改めて考えます。

 

よいこの君主論 (ちくま文庫)

よいこの君主論 (ちくま文庫)

 

 

 架神さんの作品なので、もちろんユーモアたっぷりです。

 

マキャベリ君主論を説明するのに、舞台のお膳立てを小学校5年生の教室とし、主人公ひろし君が如何にしてクラスメイトを支配していくかが綴られます。

 

5年3組を舞台とした戦国時代を彷彿とさせる群雄割拠。

 

マキャベリ君主論の中では、冷酷非道なことをするのは1回だけ、とかなるほどと感じますな。

 

 

サイコパスの真実 (ちくま新書)

サイコパスの真実 (ちくま新書)

 

 サイコパスについて知りたければこちらかな。中野信子氏の方もあるけど、私は嫌い。

 

でもね、サイコパスって診断名じゃないんですよ。それに発達障害的特性を考えての視点がどの解説本読んでいていも無くて、非常に不満です。なかなか書くのが難しいとは言え。

 

 

ベルリン陥落 1945(新装版)

ベルリン陥落 1945(新装版)

 

 ベルリン陥落についての本といえば。未読ですが、旧版を持ってます。新装版は高いな...。

 

それにしてもベルリン陥落時のソ連兵の暴虐は本当に信じ難いくらい。もし日本が降伏後、連合国の分割統治に遭ったりしていたら...と歴史の綾に震撼してしまう。

 

太平洋戦争 最後の証言  第二部 陸軍玉砕編 (角川文庫)

太平洋戦争 最後の証言 第二部 陸軍玉砕編 (角川文庫)

 

でも実は北海道が降伏後の混乱の中で、本当に占領されていたかもしれないってのはあるのですよ。そうならなかったのは、前線で撤退せずに頑張ってくれた陸軍兵士のおかげ。千島列島最北端は占守島で踏ん張ってくれた兵士たちが居たことは忘れてはいけないのでしょう。

 

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

仁義なきキリスト教史 (ちくま文庫)

 

 架神さんの本で一番好きなのはこれです。

 

キリスト教初期ってどうだったの?とか、聖書って残酷じゃない?矛盾だらけじゃない?とか思った人で、キリスト教徒以外の人は、全編笑えること必至。

 

ちなみに私はR教学園というキリスト教の学校で小学校〜高校と過ごした。礼拝が毎日あったり、食事の前は「主の祈り」を唱えたり、クリスマスは英語のクリスマスソングを歌ったり、と今思えば、キリスト教徒でも無い私にとっては貴重な経験。おかげで欧米人の思考法もなんとなく想像つく。

 

しかし、小学生だった私でさえ、「旧約聖書」の神様の残酷さと「新約聖書」の福音書の矛盾だらけの記述はおかしいんじゃないの?と疑問に思っていたくらいです。

 

架神氏の最終章「出エジプト」は、聞き読みしているとそのおかしみと迫力に圧倒されますよ。