生産力を上げるなら聞いて読め_精神科医の聴き読み日記

主にアップルのAirpodsとkindleアプリを使って「耳」で本を読んでます

雪男、ツアンポー、凍てつく太陽

探検家、角幡唯介氏の本を続けて読む。

 

blog.goo.ne.jp

 

角幡氏は、中国の峡谷ツアンポーに挑んだことで有名?なのかな。

私の2歳年下で、正直私の世代でいわゆる「探検」を志して実行可能なんだ、と思ったりもする。要は探検なるもので功成り名遂げる遂げるにはもう遅いんじゃないの?と思っていたら、出来ているのね、と。

 

氏が早稲田の学生時代に一定程度の業績を上げたツアンポー峡谷探検だが、朝日新聞社の記者を辞めて再度挑もうとしたツアンポーの前に誘われたのが、かのヒマラヤの雪男探索隊という。

 

 角幡氏のスタンスとしては、そもそも雪男なんていないでしょ?というもので、まあまあ読む側としては安心して話に入っていけるわけですよ。これがビリーバーさんだとしたらかなり辛い。しかしそんな角幡氏も、雪男探索隊の男たちの熱量に接するうちに、やっぱりいるかもという気持ちになっていく。読み手としても、最初がビリーバーさんでない立場である角幡氏の気持ちに寄り添いやすい。

 

で、行けばまあそれらしい現象たるやあるわけで。

遠征隊の成果はこちらのリンクにもある足跡だという。

 

www.afpbb.com

 

その上で、角幡氏は、遠征隊の後1人で雪男探しを続けるわけですよ。さすが探検家。

 

で結局はだんだん熱量が下がっていく。それらしい足跡があったとしても、それはカモシカだったりしたわけで。その気持ちの下がりにも読み手はついていきやすいので、あぁやっぱり居ないよね、と安心できます。

 

現実雪男というのはやはりファンタジーの世界で、その一番の証左は地元の人達が存在を見たことが無いということに尽きる。何年かに1回しか来ない外国人だけがその存在を感じて信じ込むってやはり無理があるでしょう。

 

尚、そういった角幡氏の気持ちの動きを知った後としても、本書は面白いですよ。

雪男目撃者たちの、信じていなかったものを信じ込む過程、それにかける情熱、信じるあまり死に至った日本人探検家の話。どれも心に染みます。

 

そんな角幡氏の雪男探索をした後にでかけた本命ツアンポー峡谷探検記がこちら。

 

 

www.faust-ag.jp

 

すげえな、ツアンポー、と思う。

当然生きて帰ってきたから本があるわけだけど、探検の最後に予定が狂って生死を彷徨う場面があり、今どきこんな探検を2010年という最近にもできたんだと驚嘆しつつもハラハラします。

 

凍てつく太陽

凍てつく太陽

 

 2019年、このミスの話題作。

第二次大戦末期を舞台にしたミステリーで、主人公は特高警察官。特高警察で思い出すのは手塚治虫アドルフに告ぐ、だったりするが、いずれにしても良い描かれ方してこなかったのが大部分と思う。しかしこの主人公はそんな先入観とは違い、真面目で優しい。そしてこれが物語の肝なんだけど、アイヌの血が入っている。戦前戦時中、アイヌ民族がどのように周囲から見られ、また彼らがどのように大和人になろうとしていたか、主人公の目を通して何となく当時の空気がわかります。今の自分の感覚では、アイヌなのかどうかとか気にすること自体がよくわからないが。

 

アドルフに告ぐ 1