生産力を上げるなら聞いて読め_精神科医の聴き読み日記

主にアップルのAirpodsとkindleアプリを使って「耳」で本を読んでます

ストーカー、徴兵制、家康、関ヶ原

 

ストーカーとの七〇〇日戦争

ストーカーとの七〇〇日戦争

 

 

小豆島でストーカー被害にあった作家さんのストーカーとの闘争記。内澤さんの素晴らしいのは加害者への治療に言及していること。そしてそれは決して優しさなどからではなく、どちらにしても出てくるのだから安全な状態になってくれないと安心できない、だからこその加害者への治療希望なのだということをしっかり書いている。うん、これって有期刑になるほぼあらゆる犯罪に当てはまるよなあと。罰って応報感情以外になんのメリットも無い気がするんですよ、個人的には。だから出すなら安全な状態に、というのは必然の帰結なはず。このストーカーさんは著者につきまといつつも、うつ病として治療を受けていたとかで、そこらへんは精神科医にとっては耳の痛い記述もあります。自分の患者さんがそういう行為に至りそうだったらどうしようとは確かに思いますよ、精神科医としてはね。

 

 

21世紀の戦争と平和: 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか

21世紀の戦争と平和: 徴兵制はなぜ再び必要とされているのか

 

 

三浦瑠麗氏の話題作ですね。

徴兵制というと、とにかくきな臭く感じるのが普通でしょうが、福祉先進国として平和イメージで語られる北欧では結構されているんですよね。特にスウェーデンで復活したりってのは興味深い。

まあ、我が身のこととして、また息子がいる親として考えると、徴兵されるのは基本的には嫌ですよ。そりゃ。日本が他国の戦争に積極的に関与するのは考えづらいが、国際協力の名のもとに危険地域に行く可能性もあれば、国内の大災害救助で危ない目にあう可能性もある。

とはいえ、この国の一国民として、今の人口の大急減社会がもたらす当然の帰結、すなわち「自衛隊希望の若者の実数が減り、それにより優秀な自衛官が減り、国防を担うに十分な資質を持った自衛官が圧倒的に足りなくなるであろう」という現実を考えると、それはどうにかしなきゃと考えざるを得ないわけで...。

三浦氏が記すように、軍なるものは決して戦争を待ち望んでいるのではなく、むしろアメリカのパウエル軍参謀長がハト派だったように、実際にはシビリアンのほうが戦争に向かっていく雰囲気を作ってしまうことはあるわけですよ。軍はそれこそ「我が事」だから、十分な意味のない戦争に向かうことなど考えるわけもない、ということで...確かに自分や家族が戦地に赴いて死ぬ可能性が現実になったとき、戦争に行くかの判断は軍なればこそ慎重になるでしょうねえ。人口減少社会と併せて考えると、徴兵制は一度はしっかり社会で考えるべきテーマかと感じました。

 

そんなの物騒で絶対考えられない!という人はとりあえずこちらを読んで、人口減少の怖さを知ってから本書を読むと良いと思いますよ。

 

 

 

人口が保てないと、治安が保てない、というのは盲点かと。

田舎だから捨てればいいや、ではないのがわかります。

 

 

家康 (一)自立篇

家康 (一)自立篇

 

 

家康(二)不惑篇 (幻冬舎単行本)

家康(二)不惑篇 (幻冬舎単行本)

 

 

家康、はっきりいって好きです。いや大好きってわけじゃないけど、家康がいなかったら明らかに今の日本はないと感じるわけで、信長⇛秀吉⇛家康と続いたあの権力移動は歴史の奇跡でしょう。

そんな家康の10代から30代までのまだ若い時期を描くこの2巻。いやとてもいいんじゃないでしょうか。築山殿との関係が単に悪いというのではないのが新鮮に感じましたよ。ま、結局は死なせちゃうわけですが。

安部さんがどれだけ史実を参考にされたか知りませんが、双子に関する当時の偏見というのかな、忌み嫌う意識がこの本に記されているくらい強かったなら驚きです。

本当なんですかね。かわいそうに。

senjp.com

でも、そうでもないと、家康は秀康に3歳になるまで会わなかったとか説明つかない気も。

ともあれ、2巻は信長の命によって築山殿と長男信康切腹のあたりまで、です。物語の前半家康と相思相愛だった於万の方とも、秀康誕生を機に全く繋がらない状態になるのもやるせない気にさせられます。

 

 後年出奔する石川数正がどう描かれるのかに興味ありますね。本作ではとにかく切れ者で、それゆえかそのクールな言動が家康には感情的に受け入れられない心情を強めていくという...。楽しみです。

 

ところで、家康を描いたドラマと言えばNHK大河の「葵三代」が素晴らしいですよ。どうにかして観るのをお勧めします。ドラマ中、津川雅彦演ずる家康、実に良いです。もっとも主人公は西田敏行演ずる秀忠ですが。いや若き秀忠のダメっぷりと来たら...愛らしいことこの上ない。最初が関ヶ原から始まるってのも素晴らしすぎる。合戦の迫力は、この間の映画の「関ヶ原」よりよほど凄い。予算、凄かったのね...

 

 

関ヶ原 Blu-ray 通常版

関ヶ原 Blu-ray 通常版

 

 こっちも悪くはないですけどね。でもね、司馬さんの「関ヶ原」原作って個人的には好かんというか。司馬さんてもちろん面白いのですが、ディテールの細かい真実っぽい作り話が散りばめられていて嫌いです。

 

関ヶ原(上中下) 合本版

関ヶ原(上中下) 合本版

 

 長い「関ヶ原」は、もうこの合本を買って、AirPodsで聞くしかないでしょ。