生産力を上げるなら聞いて読め_精神科医の聴き読み日記

主にアップルのAirpodsとkindleアプリを使って「耳」で本を読んでます

三体なる中国の大SFとケンリュウ、そして幼年期の終わり

2日続けて今年のベスト5に入るのでは、という著作を聴いたのでまずはその1つ。

 

 

三体

三体

 

 

ケンリュウはもう有名な中国系アメリカ人SF作家だが、中国っぽさの無い、質の高い欧州映画を思わせる格調の高い文章と、美しいストーリーテリングが魅力的なんである。

 

ってこれはケンリュウではなくて、中国人が書いた小説として(アジア人としても)初のアメリカSF界の大賞たるヒューゴー賞を受賞した作品。

 

あのオバマ大統領も就任中に読み、これを読んでいれば、つまらない政界のことから気を紛らせられると語ったそうな。

 

さて、訳者に大森望氏が入っていることにあれ?と思う人はSF通だろう。英語からの訳者じゃないの?と。まあそこは込み入った事情があり、あとがきに詳しいが、中国語を解さない大森氏が訳者になるということもあるのだ。

 

で、それはともかく、このSFはすごい。

何がすごいって、そのスケールと、SF足りうる仕掛け、とそして文章というか、描いている世界観の美しさ。

 

ストーリーはそのモチーフとして、アーサー・C・クラークの「地球幼年期の終り」があるでしょう、と思っていたらそれは案の定というか、著者のお気に入り作家のようだ。クラークさん、生きているうちに会えず残念。

 

ともあれ、これは地球幼年期と同じく、地球と異なる世界からの住人の初めての邂逅を描く作品です。そういうのが好きな人は是非。

 

冒頭、こんな始まり?と思わせる、あの中国の文革時代の話から読ませます。

 

 

The Three-Body Problem

The Three-Body Problem

 

 

英語版ですね。実は「三体」は三部作。

英語ではもう3部の終わりまで出ていて、次の作品は「The Dark Forest」、最後は「Deth's End」。うーん、読みたいが長いんだよなあ。それにしても邦訳に何年かかっているのか。

 

The Dark Forest (The Three-Body Problem Book 2) (English Edition)

The Dark Forest (The Three-Body Problem Book 2) (English Edition)

 

 

io9.gizmodo.com

 

Amazonが巨額をつぎ込んで映画化するのを進めているらしいんですよね。実に楽しみです。

 

 ケンリュウといえばこれ。15もの短編集。

 

この人の書く文章がまた美しい。

中国系作家と言っても日本も好きでいてくれるのでしょうか?極めて英雄的な行為をする日本人も出してくれますよ。日本を誤解せず正しく、日本人作家以上に過去を懐かし得るように書いてくれている。有難うって感じ。

 

ちなみに私一押しは「円弧」。

不老の技術が発達した中で、その技術の恩恵を受けて若さを保つ女性と、その技術開発者なのに薬が合わずに早逝する夫。若いままでいる主人公と、かつての事情から捨てたために離れて育った、そして不老技術の恩恵を拒否する息子との出会い。

 

さて、美しいSFといえば何よりもクラークの「幼年期の終り」だろう。

 

 

もうね、これがベスト・オブ・ベストですよ。SFの。

どんな人にも勧めたい本です。

 

異星人との邂逅話なんですが、あるとき地球に到来して、圧倒的軍事力のデモンストレーションによって地球内の争いを停止させ、かといって武力で地球を支配するでもなく、地球人をある方向性へと導いていく話。

最後には驚愕すること必至。

 

 

新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

新装版 果しなき流れの果に (ハルキ文庫)

 

 

美しいSFといえばこれも話題に出しておかなくては。

 

私にとっての小松左京といえば、あのつまらない映画「惑星ジュピター」でしたが、本書を読んで評価は180度回転。

 

読まないと。